前回の記事で、「安全は創発性であり、創発性は要素の知識からは演繹されえない」、「演繹できないような問題に対するエンジニアリングは難しい」ということを書いた。 それを書きながら、AI(機械学習)のことを連想した。 機械学習の品質確認の難しさ 機械学習を「帰納的プログラミング」、従来のプログラム開発を「演繹的プログラミング」とする対比がよくされる。 「機械学習工学に向けて」(丸山宏, 日本ソフトウェア科学会第34回大会)では、摂氏を華氏に変換するプログラムを例にとり、以下のような分かりやすい対比を示している。 演繹的プログラミング: "F = 1.8 x C + 32" という変換式(先験的知識)…