「甘ったれんじゃござんせんよ、お夕さん。赦免花は散ったんでござんすよ」 空前の「木枯し紋次郎」ブームに沸く1972年。東映がその潮流逃がすまじとばかりに放った劇場版の「木枯し紋次郎」。貴重なのは、TVシリーズでは映像化がかなわなかった紋次郎ビギンズともいうべき笹沢左保の原作の第一話「赦免花は散った」の完全映画化作品であることだ。 主演は誰あろう、東映の看板俳優、菅原文太。主演が文太、監督に中島貞夫。そしてスタッフが東映、任侠路線の面々とくれば映画も必然的にそのカラーが増す。シン・ゴジラではないけれど、TVの中村敦夫。映画版の文太。どちらが真かどうかはともかく、概して”あだ花”扱いの本作も、どう…