宝永3年10月13日。代官水野文四郎が語ったこと。濃州多芸郡大野村へ江戸から座頭がやって来た。19歳の小座頭でケイシとかいう。いろいろと奇妙なことがある。百姓が刀を出して試してみる。座頭が探って言うには永正介定だと。また脇差を見て藤嶋友重だと。また脇差を見て驚き、波の行平かと。すべて的中する。ある百姓が脇差を買い求めたと言って差し出す。これは言うほどのものでもない、340,350文で調えたものかと。果たしてそうであった。百姓の子3歳が病気になったので針を立て、今はよくなったけれど今夜戌刻(午後9時)には死んでしまうと言って立ち去る。大人や子どもに針を深く刺すが少しも痛まないと。1里(1里は約4…