訓読 >>> 451人もなき空しき家は草枕(くさまくら)旅にまさりて苦しくありけり 452妹として二人作りしわが山斎(しま)は木高く繁くなりにけるかも 453我妹子(わぎもこ)が植ゑし梅の木見るごとに心(こころ)咽(む)せつつ涙し流る 要旨 >>> 〈451〉妻のいない空しい我が家は、異郷筑紫にあった時より辛く苦しいものだ。 〈452〉大宰府から京にたどり着いた。亡くなった妻と二人で作り上げたわが家の庭は、木がずいぶん高くなってしまった。 〈453〉我が妻が、庭に植えた梅の木を見るたび、胸が一杯になって涙にむせんでしまう。 鑑賞 >>> 妻を亡くして帰京した作者が、わが家に帰り着いて作った歌。…