“接ぎ木” は、元は建築用語だった。柱や梁を繋ぎ合わせる部分を接ぎ木といった。果樹栽培で土壌病害に強い同種または同属の台木に接ぐ技術が生まれ、その後は野菜や花木、サボテンなどに応用されるようになって、今に至っている。 接ぎ木のもっとも顕著な貢献は、果樹の繁殖に使われていることだ。例えばリンゴの品種「ふじ」は、1939年に青森県で国光(母)とデリシャス(父)の交配でできた2,004粒の種子の一粒から育った。12年後の1951年に実を結んだ1本の木がそれだ。この木の枝を耐病性台木に接いで苗を作ったり、他品種の木の枝に “高接ぎ” して品種更新したりして「ふじ」をどんどん繁殖させたのだ。 今や「ふじ…