なべて世の 哀ればかりを 問ふからに 誓ひしことを 神やいさめん by 朝顔の姫君 〜一通りのお見舞いの挨拶をするだけでも 誓ったことに背くと(賀茂の)神がお戒めになるでしょう。 【源氏物語626 第20帖 朝顔8】 なべて世の 哀ればかりを 問ふからに 誓ひしことを 神やいさめん と斎院のお歌が伝えられる。 「そんなことをおとがめになるのですか。 その時代の罪は皆 科戸《しなど》の風に追 ってもらったはずです」 源氏の愛嬌《あいきょう》はこぼれるようであった。 「この御禊《みそぎ》を神は (恋せじとみたらし川にせし 御禊《みそぎ》神は受けずもなりにけるかな) お受けになりませんそうですね」 …