A:「誰かを蘇らせる」ということに関して、ジョン・アーヴィングの『ピギースニードを救う話』という短篇が新潮社から出ているんですよ。少年たちがいじめの対象にしていた知的障害のあるスニードが、ある日、死んでしまうのですが、少年たちにしてみれば後味が悪い。都合のいいように嘘を合成し、スニードは死んでいない、異国で幸福だと思おうとする話です。ぼくはそれをとても面白いと思って、新潮社に「アーヴィングに触発されたかな」って言ったら、「山田さん、そんなことはありません」と。どちらも同じ新潮社なのですが、『ピギースニードを救う話』が出たのは、ぼくが『彌太郎さんの話』を書き始めてからなんです。何年にもわたって書…