イザナギ・イザナミの黄泉平坂(よもつひらさか)の神話からも分かるように、神道における「死の穢れ」を強く忌む風習は、古くからあったものだ。古代日本においては「陵戸」という墓守を職とする人たちがいたが、律令制下においては彼らは賤民の一種とされていた。昔はこの「陵戸」こそが、中世につながる被差別民の原型である、という説が主流だったのだが、現在では概ね否定されているようだ。 神道にはこの「死の穢れ」とは別に、「肉を食べること」への禁忌もあったから、延喜式においては「肉食」も穢れと規定されている。しかし、これは比較的新しい考え方であった。 神道はとても古く、その起源はおそらく縄文時代の精霊信仰(アニミズ…