阿川弘之の「志賀直哉」とその周辺の人物についての記録文学。 野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。
志賀直哉〈上〉 (新潮文庫)
志賀直哉〈下〉 (新潮文庫)
1883年2月20日宮城県石巻町生まれ。作家。1971年没。父直温、母銀の次男として生まれる。
1910年、武者小路実篤、有島武郎らと「白樺」を創刊。以降「白樺派」として戦前の小説界を牽引する。異名「小説の神様」。自らを題材に採った告白小説・私小説を中心として執筆。太宰治『如是我聞』などでの批判をのらりくらりとかわす。
3月31日から一人で京都、大阪・高槻市、鳥取市・砂丘、兵庫県北部の城崎温泉、それから京都に戻る旅をしてきました。昨年の旅行はほぼ全部旅行社のバスで運ばれるお仕着せツアーへの参加であり、見るべきところは見られるが、なんか物足りないというか、今一つ達成感がない。見たというだけで、自分で歩いたという実感は沸かないのです。その点、一人旅はいろいろ自分でルートや宿泊先を考え、予約し、滞在先での時間も自分で調節できるのでそれなりの充実感があります。まあ、食事で言えば、セットメニューにするか、アラカルトで頼むかの違いでしょうが、その差は食事以上です。 京都では「新選組友の会」の仲間と落ち合い、壬生寺、壬生屯…
昭和16年(1941)12月8日、神戸のホテルのルームで朝寝を決込んでいた徳川夢声のもとへ、岸井明が駆込んできた。慌てた様子で、扉も開けっ放しのままだった。東條英機首相のラジオ放送が始まるという。 夢声は月初めから湊川新開地の花月劇場で芝居の興行中だった。演目はドタバタ諷刺喜劇「隣組鉄条網」で、谷崎トシ子(戦後の人気歌手江利チエミの生母)ほかの共演による、十日間興行だった。浅草での初演が当ったのを観て、それではと吉本興業が神戸へ持ってきたのである。 おりしも唄えるコメディアンとして人気者だった岸井明が阪急会館で音楽ショーの興行中で、同じホテルに宿泊していた。 昼夜二回興行とはいっても、芝居の準…
太宰治が志賀直哉を何故あんなに憎悪をこめて罵倒したか を… ときどき最近考えている。 戦前・戦時中の、 翼賛体制のもとの時代、 特高、治安維持法、が跋扈していた時代、 そして人々・民衆の精神の内面にも、翼賛体制が内面化されていた時代、 の文化人、作家の 悲しさ、みじめさ、おぞましさ、 というものが、あの憎悪の現象の中に、ある気がするのである。 ふわっと考えたってばかりの、 私の考えで書いてしまうのだが、 志賀直哉が、 翼賛体制下の時代。特高・治安維持法・全国民的に翼賛性とファシズムが内面化されていた時代。 にあって、 文化人の悲しさ、みじめさ、に無縁でいたということはない。 彼だって、 戦時中…
潮風に吹かれて 今回のトップは、映画についてはちょこっとで、16年前にプライベートで巡った3つの城 ( 姫路城・犬山城・名古屋城 ) の紹介です。 単なるワタクシ的プチ昔ばなし、そんなものになりますが、記事ネタを記述するに当たって遠く過ぎ去った記憶をたぐらせます。 では、ところどころ古ぼけている曖昧な記憶をぐいーっと引き戻します。 平成19年 ( 2007 ) の11月中旬から翌年の3月下旬まで、志賀直哉の小説「城の崎にて」の舞台になった城崎温泉にある小さな旅館で私は働いていたことがあります。住み込みの短期アルバイトでした。冬場の城崎温泉といったらズワイガニ ( 松葉ガニ・越前ガニ ) なので…
今回は、志賀直哉 作の『暗夜行路』を読みました! なかなかの長編で読むのが大変でしたが、読み応えありました😄 books.rakuten.co.jp 《作者紹介》 志賀直哉 1883年、宮城県生まれの小説家で、「小説の神様」と称せられのちに多くの小説家に影響を与えるものとなる。 学生時代、女義太夫*1に熱中し、その影響を受け小説家を目指す。 武者小路実篤や谷崎潤一郎と親交があり、夏目漱石をとても慕っていた。 引越しを数多く行なったことでも有名で、広島や京都や東京などに移り住み、生涯で23回も転居をした。 代表作に『暗夜行路』『城の崎にて』がある。 《あらすじ》 前編 主人公の時任謙作は、両親に…
朝。 スライスチーズ玉子ソーセージ柚子大根の具でホットサンド。 昼。 豆腐フライ と、うどん。 夜。 初めて豚小間でミルフィーユカツ作ってみた。 ラムーの豚小間100g69円特大パックをそのまま冷凍したのをトンカツの大きさにカットし塩コショウしバッター液⇒パン粉付け低温で揚げる。凍った肉の塊が厚すぎたのでレンチンを挟んで2度揚げして中心部まで火を通した。安いカツ用ロース肉と比べて食感は下回るが肉の味は上回る。100g単価約30円差を考慮すれば予想以上の成功と言える。リピあり(次回は2度揚げしたくないので、薄く延ばして冷凍しよう) キャベツないので、ピクルス添えて。 食後、映画 『好人物の夫婦』…
暗夜行路:3回目の通読 暗夜行路をはじめて読んだのは中学2年生の時。 当時武者小路実篤にはまっていて親友志賀直哉の代表作ということで読もうと思った。 だがこの時は序の箇所はわかったけど 本編に入ったら意味不明状態になり途中でやめた。 最初の通読は高校の時だが 結局ほぼ何もわからずつまらなかった。 2度目の通読は40歳くらいの時。このときは割と面白かったが全体としてのこの小説を認識できなかった。いったいこの愚かな時任謙作の何を書きたいのだろう?(笑)そんな気持ちが半分以上あった。 そして今回、3回目になるが 還暦を過ぎて熟読した いろいろ書こうと思ったが再び動画でしゃべる そしてついにこの作品暗…
A「食べ物にうまいものなし!!これが奈良だよ」 B「おまえねぇ・・・今の時代、それちょっと言い過ぎ・・・」 大学仲間で近畿での名物旨いものの話しをしていた。 A「そうだろ?大阪はうどん・お好みなんて粉もの、神戸は牛肉、京都は懐石なんてことで、いくらでも出てくるじゃないか」 C「まぁまぁ・・・喧嘩するなよ。ところで、思いだしたんだけど、その奈良の『食べ物にうまいものなし』ってことばの元になったのが志賀直哉だって知ってる?」 A「え、あの『城崎にて』なんかを書いた志賀直哉か?」 C「ああ。直接、うまいものなしって言ったんじゃなくて、昭和のはじめに奈良の観光局から志賀直哉が観光パンフレットを書くよう…
8月23日㈬。炎暑。 午前、駅前の「コメダ珈琲」で、ホット・コーヒーとトーストのモーニング。『ポール・マッカートニー ザ・ライフ』を読む。だいぶ進んだ。 1970年代、ウイングスの絶頂期(しかし、バンドのメンバーがたえず入れ代わる)から、日本の大麻所持によるポール・マッカートニー逮捕(全コンサートの中止)、ジョン・レノンの死、など、悪夢のような出来事が連続した1980年代へはいる。読んでいても、一番つらい部分。 ★ 午後、「イオンシネマ板橋」へ、三原光尋(みはら・みつひろ)監督の『高野(たかの)豆腐店の春』を見にいく。 尾道の町に店を構える高野(たかの)豆腐店。愚直な父、高野辰雄と明るくて気立…
我孫子駅西口にある写真。後列中央左から武者小路実篤、柳宗悦、志賀直哉。 6月21日㈬、曇り。 「上野駅公園口」で、Tさんと待ち合わせ。いつも時間より早く来るひとなので、わたしも早めにいったら、もう来ていた。 今回は、我孫子の「白樺文学館」で、「白樺派と我孫子」というテーマの展示をやっているので、見にいくことに。 上野から我孫子までは、常磐線の快速で35分くらい。予想以上に早く着いた。 我孫子駅から「白樺文学館」まで、不整脈のわたしの足で20分くらい。話しながらだと、もっと短く感じられた。 最近になって、いままで手にいれにくかった里見弴の小説が、文庫になって2冊発売された。 「『彼岸花』/『秋日…
アオサギ 2024年4月18日のシアターテイメントNEWSに『文豪とアルケミスト』の記事がありました。 ・『文豪とアルケミスト 旗手達ノ協奏(デュエット)』は、 2024年6月6日から16日に東京・シアターH、6月21日から23日に京都・京都劇場で上演予定 ・櫻井圭登扮する石川啄木 櫻井圭登扮する石川啄木 - ステージナタリー ・志賀直哉、有島武郎、小林多喜二・・・などのビジュアル メインキャストのソロビジ公開 | シアターテイメントNEWS
僕が小学校時代から大人になるまで過ごした我孫子は、今住んでいる鎌倉との共通項があり、北の鎌倉とも呼ばれた場所。その理由は、都心からほどない距離にありながらも湖沼を臨む情緒豊かな場所であり、鎌倉と同じ別荘地であり、白樺派の文人たちが拠点を構えたことに由来しています。 白樺派は、学習院の同級生が創設した芸術集団であり、志賀直哉、武者小路実篤、柳宗悦、バーナード・リーチ…なかなかそうそうたる顔ぶれです。ちょうど今、原田マハさんの『板上に咲く』を読んでいるのですが、世界的な版画家である棟方志功さんが芸術家を志すきっかけを創ったのは、雑誌白樺において柳宗悦氏が紹介した『ゴッホ』のひまわりに感銘を受けたこ…
皆さんこんにちは。『リーチ先生』は、バーナード・リーチというイギリス出身の陶芸家と、日本人青年沖亀乃介の交流を中心に展開します。この物語は、一人の外国人芸術家が日本文化に魅了されたという話ではなく、異文化間の深い理解と絆の形成を描いたものです。 横浜の洋食店で給仕として働いていた亀乃介少年。彼は偶然にも高村光太郎と出会い、その縁で光太郎の父である彫刻家・高村光雲の書生となります。この新たな生活が彼の運命を大きく変えることになります。光雲のもとで働いている時にリーチが訪れ、亀乃介が通訳としてリーチとの初めての会話を助けることから、彼らの15年間にわたる共同作業が始まります。 亀乃介はリーチととも…
今回はタイトルにあるように、主人公の精神深くにある、これまで倒してきた敵のネガティヴな思念の残滓が蓄積する場所……廃棄孔がテーマ。 以前からその廃棄孔で、人知れず蓄積する負の情報を焼き続けてくれていた巌窟王と廃棄孔のお話になるかと思っていたのですが。……いや、まあそういう話ではあったんですが……。 なんというか、ストーリー全体を見返した時にその「廃棄孔」の要素が出てくるのが最終盤といっていい局面だし、今回のラスボスも微妙に小物感。 どちらかというとメインは完全に「アヴェンジャーというクラス」を掘り下げたものであり(アヴェンジャーとは何か、ではない)、そこに設定的に最重要クラスの廃棄孔案件も入れ…
昭和51(1976)年、4月9日に白樺派を代表する作家武者小路実篤が亡くなりました。 48年前の今日です。 私は昼のNHK列島ニュースで知りました。 武者小路実篤は、明治43年、志賀直哉らと共に、雑誌白樺を創刊。 人道主義を掲げ、大正から昭和をリードしました。 人間への深い信頼に基づく人道主義が特徴で、晩年の代表作、欲を捨てて飄々と生きる「真理先生」は、作者の分身ともみられています。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.curre…
奈良にも居をかまえていたという志賀直哉。白樺派と呼ばれる一派の文学者です。 志賀直哉旧居跡が、サロンとしてお茶をいただけるようになっております。 広いお庭で明治の文豪たちがサロンでお茶を飲みながらコミュニケーションを交わしていたのでしょうかという感じです。 ♪ピアニスト谷真子公式サイトはこちら♪
山本嘉次郎監督 高峰秀子主演 映画『馬』(東宝、1941年)を観てきた。 演出助手を務めたのは若き黒澤明で、高峰主演の『綴り方教室』(1937年)でも一緒になっている。このとき黒澤は黒い絹糸で器用に「蚊」を作り、高峰の手の甲に載せるという演出をして13歳のデコに強い印象を与えた。 『馬』は昭和14、15,16年と足掛け三年の月日を費やして東北の豊かな自然の四季を背景に撮影された。今では考えられない贅沢な映画の制作スケジュールだった。 この映画を観た志賀直哉は高峰に手紙を書き、「この映画を観て、ススキの原っぱを一頭の馬がただひたすら走って行く夢を見ました」と感想を述べたという。 等々、映画を観る…
根津嘉一郎から売却され旅館として生まれ変わる際に加賀の成巽閣を模したラピスラズリの壁。 ここの暖炉は一番好きな暖炉かもしれない。 チューダー様式にガンダーラを注入した折衷様式の特注品。最近の売れっ子で旅館に缶詰になって執筆する作家はいるのだろうか。 暖炉上の鉄フードの梵字デザインは何度見ても素敵。暖炉の火床の奥の竜の彫刻も焦げて趣がある。 スタンドグラスも素晴らしい。何一つ隙がない。 鉄道王「根津」の別荘でもあった熱海の起雲閣。その後は高級旅館になり数多くの文人に愛されたそうな。尾崎紅葉はこの佇まいで瓶の葡萄酒を飲むか。 谷崎潤一郎、志賀直哉、山本有三、1948年に起雲閣に宿泊し文芸対談。 三…
前回、江戸三十三観音第20番札所天徳寺、第21番札所増上寺に参拝しながら芝をめぐった。今回は第22番札所長谷寺に参拝しながら、赤坂・麻布をぶらぶらしようと思う。 1.迎賓館赤坂離宮 2.赤坂豊川稲荷 3.高橋是清翁記念公園 4.乃木神社 5.長谷寺 初回記事はこちら↓ octoberabbit.hatenablog.com 前回記事はこちら↓ octoberabbit.hatenablog.com 1.迎賓館赤坂離宮 今日は四ツ谷駅からスタートだ。 四ツ谷駅 四ツ谷駅から南に歩いて、見えてくるのが迎賓館赤坂離宮だ。 迎賓館赤坂離宮 ちなみに四ツ谷駅からこの景色にたどり着くまでに、チケットの購入…
「せっかく福山に行くのに尾道には寄らないの?」 旅上手の息子のアドバイスに従って 朝早めに宿を出て、尾道に向かいます。 ほんの2〜3時間の滞在ではありますが、 尾道の街の雰囲気を味わえれば、と思います。 ロープウェイで山の上まで登るのが一般的とのことですが、坂の途中から見下ろす瀬戸内海の風景がいいと息子が言うので、歩いて登ることにします。 細い裏道を歩くのって、どうしてこんなにワクワクするのでしょう! うずしお橋を渡ると古寺巡りのコースに入ります。 いきなり急峻な階段が続きます。 持光寺に向かいます。 延命門持光寺裏山の日輪山より切り出された36枚の花崗岩で出来た大石門。門をくぐると、巨石より…
こんにちは。ヒロキです。 前回に引き続き両親とのクラシックホテル巡りの旅レポです。 今回で最終日です!どうぞよしなに! 1日目はこちら↓ 2日目はこちら↓ 6:30 ~起床 朝食会場へ~ 相変わらず朝早い起床。まぁ前日が早めの就寝だったので そこまで辛くはなかったですが、混む前に朝食会場に向かうことに。 朝食会場に向かう際、ホテルの本館にあたる大階段が目に入りました。 この場所はニューグランドといえば、と言われるほどの有名なもので、 ホテルと同じ名称のニューグランドブルー色の絨毯が敷かれています。 そうそう、前回書き忘れていましたがこのホテルも当然数多くの 著名人が来館しており、富士屋ホテルで…
東京都写真美術館にて木村伊兵衛展 カメラも写真も語れるほどの知識はないので 機材や技術については何もないのですが 流石に撮影データはありませんでしたし 今ほど誰もが写真を残せる時代ではなかった頃の画像ばかり どのくらいシャッターを切ったらあんな写真が撮れるのだろうか? 被写体にポーズをつけて撮る人ではなかったので トリミングとかしてるのかもしれませんけど 呆れるほど好みの写真ばかりでした 思わず写真集買ってしまうところだった 3,300円だから高くはないんだけど ポストカード 2枚買って我慢 フランスでブレッソンとドアノーにも会って話しているらしい 木村伊兵衛が撮ったブレッソンの写真もありまし…
火曜日。 本日も雨。 午後からバンドがレンタルスタジオに。 もはやバンドとは云えない出来でした。 TMネットワークの楽曲を提案した者は自分が歌うと言いキーも決めたのに。 今年度最後の音合わせはお話にならないレベルでした。 このバンドを辞めたい。 年度末だし。明日は定休日。 お天気は回復するようです。帰宅して大根の皮をピーラーで剝いていたら左手親指の皮も剝いてしまったようで、白いはずの大根が赤く染まり、親指は血だらけに。 先ほどまで傷口にウエットティッシュをあてて血を止めていました。 止血は成り、今はギターを弾くことも可能です。 親指をグリップさせて6弦を押弦することは出来ませんが。明後日と明々…