白水ブックスの解説では、過去にあった本作への批評は芳しいものではなかったと言っている。まあ、人権が確立する前の創作であるし、マキャベリ「君主論」の時代であるし、封建制で統治者の権力は神の威光といっしょになってとても強かったのであるし。近代の基本的人権の尊重、個人の自由などの観点から批判するとなると欠陥・欠点だらけになってしまう。登場人物も近代からすると、個性やリアリティのないキャラになっていると批判されるが、中世からルネサンスの人を近代基準で評価するのは不当。 話は3つに分解できる。1.ウィーンを統治する公爵はしばらく領地から出るので全権をおまえに預けると、腹心の部下に命じ出立した。部下は20…