恋人(誰)にドライブに連れて行ってもらうことになった。後部座席に後ろ向きに座ると、背後の景色がよく見えた。このとき、私はバイクに乗っていたように思う。海辺にかかる橋を渡るバイクにしがみつきながら、夕暮れの景色を眺めていた。心地よい風を顔に受け、この上ない幸せを感じていた。 不意に自分がバイクから落ちてしまうのではないかと心配になるが、横を見るときちんとドアロックされてあり、安心した。そしてこのとき、自分が先ほどから乗っていたのは車だったのだと気付いた。いつのまにか自分自身も、前を向いて座っていた。 大きな郵便局の前を通過したあたりから、急に風が強くなりだした。しばらくすると目的地である東京駅が…