おんだりく 1964年(昭和39年)、宮城県生れ。水戸第一高校卒、早稲田大学卒。1992年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している。ファンには“ノスタルジーの魔術師”の異名で親しまれている。 2005年(平成17年)、『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞受賞。同年、同じく『夜のピクニック』で第2回本屋大賞受賞。
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昨年末から年明けにかけて読み、感想が下書きに保存したままになってたこちらの三作品、今頃ですが簡単にまとめました。 『去年の今日』(長島有里枝・著) 主な登場人物は、40代後半のライターである未土里とその息子の大学生の樹木、未土里のパートナー・睦。 家族の愛犬「PB」が突然亡くなってしまい、それからの日々を、それぞれの視点で、家族や愛犬への思いが綴られている連作短編集。 程よい距離感で相手を思いやる気持ちが伝わって来る話だった。 子供は苦手であり、ずっと家庭を持つつもり無く生きてきた睦と、樹木との、手探りのような遠慮がちな会話とその距離感が読んでいて心地よかった。 樹木は、高校卒業直前でのコロナ…
この人の本は、読み始めると止まらない、という作家が何人かいて、恩田陸はその一人だ。 章や登場人物の視点などで区切りがあるものの、続きを知らなければ不安になるような、ほかのことが手につかなくなるような、中毒性のある魅力がある。 タイトルから話の予想ができないところも好きだ。 木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫) 作者:恩田 陸 文藝春秋 Amazon 恋人同士と思われる男女が、同棲を解消し、最後の夜を過ごす場面から物語は始まる。二人はそれぞれの思いを持ちながら、相手がある人物を殺したのではないかと考えている。そして最後の夜に真相を知りたいと思っている。 男女それぞれの視点で交互に語られていくことで物語…
王様のブランチのBOOKコーナーの作家インタビューの内容をまとめています。 spring:恩田陸 インタビュー ひとこと 恩田陸プロフィール 合わせておすすめ spring:恩田陸 発売3日で重版決定! spring (単行本 --) インタビュー ―――テレビのご出演はひさしぶりだと伺ったんですが。 恩田さん: 滅多にに出ないので、いつぶりかも覚えていない。とても緊張しています。 ―――今回、バレエ小説に挑戦した理由は? 恩田さん: お芝居をテーマにした小説も書いたし、ピアノコンクールをテーマにしたものも書いたんですけど、次にハードル上げるじゃないですけど、何かチャレンジするなら、もっと言語…
恩田さん新作は、待望の理瀬シリーズ!アンソロジーではちょこちょこお目見え してましたが、こうして一作にまとまると嬉しいですね~。やっぱり、この不穏で 耽美で不条理な世界観がたまらない。あともう、装丁がヤバいくらい神がかってる (表現バグっててすみません^^;素晴らしいって意味ですw)。文庫より 大きくて、普通の単行本よりも小ぶりな、ちょっと変形サイズの単行本。スピンオフ だから、本編とは少し違った形にしたかったのかな~と思いました。表紙も中の イラストも美しい。手元に置いておきたい! いやー、堪能しました。二作目までは先述した通り、アンソロジーで既読でした ので、だいたい内容も覚えていました。…
皆さん、こんにちは。 そろそろ異動の時期ですね。私は外国でこじんまりと自らサイロを築いてぼちぼちやっています。しかし、所謂駐在さんはそうはいきません。異動の示達があります。 私の一つ下の上司君は、次はなんとブラジルだそうです。と、遠い・・・。日本からだと30時間かかるそう。これでは一時帰国も難しいですね。 彼は、ことし上の子が大学受験、下の子が中学受験らしく、当然の事ながら?単身赴任となる模様。ちなみに上の子は奇遇にもうちの愚息と同じ高校で同じクラブの一つ下。残念ながら甲子園予選は見れないかもしれません。 子どもの成長、家族の急用に柔軟に対応できない部分は気の毒だなあと感じます。その応報として…
★★★★☆ あらすじ 母親の死をきっかけに音楽界から消えていた元天才少女のピアニストは、数年ぶりに復帰し、世間から注目を集めるコンクールに参加する。 www.youtube.com 感想 消えていた元天才少女がコンクールに参加し、他の個性豊かなピアニストたちとしのぎを削る群像劇だ。予選を通じてメインの4人のピアニストたちが、焦ることなくじっくりと、タイミングよく紹介されていく。主人公が元天才少女で、他に秀才、天才、アウトサイダーと、分かりやすくキャラが配置されている。 期間中、ピアニストたちが足を引っ張り合うのではなく、励まし合い助け合う関係になっているのがとても印象的だ。直接戦うわけではない…
早春と言えども、風は北風・冷たい雨もあり…季節は行ったり来たりしていますね。 さて、ご主人様の本便りです。いくつか読みましたので、まずはご紹介いたします。 「スキマワラシ」 恩田陸 著 心の隙間に見えるその影はもしかすると、知られざる家族の絆。過去へのいざなう旅の始まりかもしれません。心がほっくりする小説でした。 「あなたの愛人の名前は」 島田理生 著 幸せだと思ってたのはそうありたいと願うからでしょうか? 心の奥にあるかすかな欲望。それは愛。あなたの好きな人はと問われ、思い浮かべる人は誰ですか?短編集ですが、人は生きるために小さな噓をつく。だけどそれは仕方ないのだと、そんなことを思いました。…
皆さん、こんにちは。 私はそもそも本好きではありましたが、社会人になってからはそれ程本は読んでいませんでした。きっと読んでも10冊あったかどうか。 思い返せば、本をゴリゴリ読むようになった切っ掛けは2つほど。 10年前、日本から逃げるように海外に出た真正ダメリーマンとして、厳しくも慈愛に満ちた年下のメンターと出会い、呻吟しつつビジネス書やノウハウ本に救いを求めたのが一つ。 4-5年程前、インター校に通う子どもたちの国語力が壊滅的であることから、「日本語の本を読ませなければ」と本探しを始めたのがもう一つ。 小説を今も読むようになったのは後者が理由。 今では二人の子どもたちは生活の拠点として日本を…
この時期、そわそわしてしまうのは当然か。 1月の更新とは打って変わって、 2月の更新は滞る。 その間にも何冊か、本は読み進めており、 何冊読んだか、 何を読んだか、 どう想ったのか、 何を感じたのかを、 スコーンと忘れる前に、書き留めておきたい。 まず、約束通り、 恩田陸さんの『夜のピクニック』を読んだ。 夜のピクニック(新潮文庫) 作者:恩田 陸 新潮社 Amazon 私が読んだのは、ハードカバーの方。 当たり前っちゃ当たり前だが、 登場人物が増えることによって、物語の筋書きが変わっていくのが面白かった。 主人公の貴子と融の間に、 どんどんどんどん投入されるクラスメイトたち。 深くもなく、軽…
ホラーは表現者にとって非常に難しいジャンル。人によって恐怖を感じる対象は異なるからだ。私は虫は平気だが、苦手だ、恐怖を覚えるという人は結構多い。フォビアの域になるが、リンゴのような丸い果実に恐怖を覚える人もいるそうだ。ちなみに、幽霊、妖怪の類よりも人間が一番怖くて恐ろしい存在だと私は思っている。 【あらすじ】平口捷は、同級生で天才美術家と名高い烏山響一に彼の郷里にある美術館へと招待される。美術館を訪れた捷を襲ったのはめくるめく恐怖だった……。 禁じられた楽園〈新装版〉 (徳間文庫) 作者:恩田陸 徳間書店 Amazon 「禁じられた楽園」で描かれる恐怖は、お化け屋敷を歩いているような不気味さだ…
シティポップ短篇集 posted with ヨメレバ 片岡 義男/川西 蘭/銀色 夏生/沢野 ひとし/平中 悠一/原田 宗典 田畑書店 2024年04月10日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す さて、出た本、片岡義男他「シティポップ短篇集」出ました。ううむ、シティポップっていうのが、実はよく分かってないのだけどウィキペディアを読むと、なるほどなるほどとなる。で、シティポップ的な短編を集めた小説集。気になるし、このラインナップ!まずはアマゾンの紹介文を!!
恩田陸さんの理瀬シリーズ最新刊『夜明けの花園』が 2024年1月講談社より発売。『麦の海に沈む果実』に関連する短編が全6作品収録されている。あの作品が好きだった人は読むべし。 『麦の海に沈む果実』の舞台である外と隔絶された学園は、陸の孤島、湿原に佇む古城。どうしてもフランスのモン・サン=ミシェル修道院が思い浮かぶ。あちらは海、干潟だけれど。でも、沈んだら浮かび上がらないという湿原と、潮の満ち引きが速く死者を多く出しているモン・サン=ミシェルはやっぱりイメージがかぶる。その同じ学園を舞台に理瀬以外の視点の作品が4つ、舞台は違うけど主人公である理瀬視点の作品が2つ収録されている。 水晶の夜、翡翠の…
江國香織『ひとりでカラカサさしてゆく』を読みました。 『去年の雪』を思い出す、多人数視点で紡がれる物語。三人の老いた男女が死に向かうまでの数時間と、彼と彼と彼女が死んだ後の世界の話。恩田陸の『灰の劇場』を読んでいるとなお味わい深いと思います。 江國香織は湿っぽさがない。悲しさに湿り気がないのが魅力のひとつだと思っている。寂しいけれど明るい寂しさで、読んでいてそこまで辛くない。 「堅物」を描くのも上手い。そして堅物でも、柔軟でも、誰もにどこか狂いがあるのが好きだ。人間誰もがどこか狂っている方が安心する。 完爾も、知佐子も勉も、自分の芯を持った人間だった。その瞬間まで気概を持った人たちで、だから「…
3月下旬の日記(2024年3月16日から3月31日分) 4月1日日付が変わって4月になった。桜はまだ満開ではないのに今年の四分の一が終わった。六時過ぎに起きて可燃ゴミを出しにいく。風は冷えていて気温も低い。まだカラスの鳴き声は聞こえなかった。とりあえず、6月末までに書き終えるスケジュールにした『鱗粉と忘却』というタイトルの作品について朝少し早く起きた時間にすることにした。もともといろいろと設定とか考えていたもので、キャラクター表は作っていた。僕は妄想キャスティングという形で登場人物ごとに映像化した場合のイメージの俳優さんの画像をキャラ表に貼っている。改めてそのキャラ表を見ながら、それぞれのエピ…
毎週日曜日は、この一週間(4/8~4/14)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上を表示) ◆サンデー毎日「遠回りの読書」: 4/21 号 2 冊第二次マンガ革命史 劇画と青年コミックの誕生 中川右介 双葉社 2,420 ②作家とけもの 野村麻里 平凡社 2,200 ◆女性自身「今週のあなたを開く本」: 4/23 号 4 冊あいにくあんたのためじゃない 柚木麻子 新潮社 1,760 ④翻訳でき…
妙な時間に目が覚めて眠れなくなって朝まで。ふとんのなかでぼんやりしていたら、となりのげんちゃんが寝返りをうって、ぶっぶー、とそれだけの寝言をいった。今週は窓をうすくあけて仕事をした。肌寒いようなあたたかいようなはざまの季節。風向きがよい感じになると、玄関先から桜の花びらが舞いこんでくる。表の遊歩道を通って園児たちが連れ立って散歩にでかける声が聴こえてくると、たまらなくなって階段をあがり二階の窓辺からのぞいたりした。行きも帰りもやってしまった。遊歩道わきで春を過ごすのは今年を入れてあと二回になる。 夜果つるところ (集英社文芸単行本) 作者:恩田陸 集英社 Amazon 卜。 山間の遊郭で暮らす…
こんにちは、ippeiです。 今年38歳になったおじさんです。 急に自虐かとびっくりですが 笑 人生の折り返し地点に来ているなと実感。 これをあと半分しかないと思うのか、 あと半分もあると思うのかはそれぞれの人次第。 そんな事を考えながら日々を過ごしています 笑 さて前回のブログでは今年の目標を発表しました。 早速動いた事をこちらに書き込む事で自分のモチベをあげていきたいと思います 笑 まず始めたのが簿記3級の勉強。 1日30分という短い時間ですが、まずは始めました!笑 無理せず無理せず… 始める事が大切だと思うので!笑 さらに読書については今月5冊の本を読了。 今回読ませていただいたのは恩田…
●概要●ミュージシャン等20名●漫画家111名 ●他漫画家:情報不足・① ・② ・③ ・④ ・⑤ ●ゲームクリエイター14名 ●小説家104名 ・他小説家: ・① ・② ●哲学者1名●ファッションデザイナー2名 ●写真家2名●映画サイト運営者1名 ●概要 現在243名分のリストを掲載。 このコーナーは「映画人のオールタイムベスト(個別)」に掲載した以外の漫画家、アニメーター、ゲーム開発、シンガー、作曲家、小説家、その他クリエイターが影響を受けた・好きな映画のリストをまとめた掲載先のリンク集です。
書店員さんの投票で決まる、【本屋大賞】ですが、本記事では本屋大賞歴代受賞作の中から、おすすめ10選を紹介します。 最近は、読んでもいないのにおすすめ本を羅列して紹介するメディアが多いです。この記事では、筆者が読んでみて紹介しているので、本の内容は保証します。 というよりも、全国の書店員さんたちが推す、お墨付きの本なので間違いなく面白いです。 そんな素晴らしい本の多くが、無料で読めたりもするので、いい本に出会いたくてウズウズしている方は、ぜひ最後までお付き合いください。 当ブログでは、聴く読書のオーディオブックをおすすめしています。聴く読書に興味が湧いたという方は、「オーディオブックおすすめ本1…
おもしろい小説を読みたい! というわけで、歴代の「本屋大賞」受賞作品とランキング作品をすべてまとめた。表紙画像クリックでAmazonへ、あらすじやレビューも確認できるのでご参考まで。 それではいってみよう! 2024年 本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。 成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ作者:宮島未奈新潮社Amazon 2024年 ノミネート作品(2…
・spring著者:恩田陸出版:筑摩書房 「蜜蜂と遠雷」でピアノ演奏の高みを文章で描いた作者が、バレエ、しかもコンテンポラリーを中心に描いた意欲作品。クラシックならまだしも、コンテンポラリーの創作バレエを文章でどう表現すれば…ってところを力技で押し切ってる一作ですw。日曜日の午後、一人(と一匹)で留守番する時間があって、午後いっぱいで読み上げてしまいました。面白かったです。 構成としては4パートに分かれていて、それぞれのパートを違う人物が語る構成。最初の「跳ねる」で、主人公(萬春)の同期がバレエダンサー・振付師としての天才性・特異性を語り、次の「芽吹く」で主人公の伯父が主人公の幼少期からバレエ…
会議がないのをいいことに、10時すぎまで眠る。雨予報だったが、曇っている。昼前の会議が始まるまでに、十数ページだけ残っていた恩田陸の『木洩れ日に泳ぐ魚』を読み終えた。大学時代、学校の帰り道に立ち寄った古本屋でなんとなく手にとって、そのときに読んでいるはずなのだが、ほんとうに読んだのか疑わしいほどに記憶が抜け落ちている。当時の自分には響くものがなかったのかもしれない。今回だって琴線に触れたというほどでもないのだけど、おもしろいと思えたことは確かだし、そのおもしろさはあの頃の自分にはわからなかった類のものだろうとも思う。 僕は今感じている自己嫌悪が単なるアリバイ作りに過ぎないこともちゃんと分かって…
不適切にもほどがある! posted with ヨメレバ 宮藤 官九郎/TBS KADOKAWA 2024年04月02日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す さて、出た本、宮藤官九郎「不適切にもほどがある!」出ました。賛否あったドラマですが僕は文句なしにおもしろかった。この時代にこういうテーマのドラマを作るなんてクドカン「さすが!」というしかない。