『摩訶止観』巻第一の下 「六即に約す」の段より ◎六即について 六即によって真実を表わす(第一章「大意」の第一節「発大心」の第三項「是を顕す」に、「四諦に約す」「四弘誓願に約す」「六即に約す」の三目があり、その第三目)。 問う:(注:「問う」は原文にはない)初心が真実とするのか。修行の後の後心が真実とするのか。 答える:『大智度論』の燃える灯心の喩え(注:燃える灯心を無明などの煩悩に喩え、灯心を焼く焔をその段階に相応した智慧に喩え、やがて灯心が燃え尽きる時、悟りを得るとする)の通りである。真実は初心ではなく初心を離れず、後心ではなく後心を離れない。もし智慧と信心が具足していれば、一念はそのまま…