野菊の墓という短い悲恋小説を読んだ。 主人公の記憶の一部を切り取ったかのような話で、すぐ読み終えたけれどいつまでも考えてしまった。 野菊の墓 (新潮文庫) 作者:左千夫, 伊藤 新潮社 Amazon 恋愛小説の結末が悲恋になる要素には、たいてい以下が当てはまる ・身分の差(階級・家族間など) ・時代背景 ・不運 ・死別 野菊の墓はこの要素すべてをコンプリートしている。 ・身分の差(階級・家族間など) 主人公の政夫は十五歳、中学への進学を控えている。いとこの民子は十七歳、当時は嫁入り先を考えなければならない歳だった。親戚間の恋愛は現代でも厳しい。 ・時代背景 当時は結婚適齢期の娘が親戚とはいえ男…