町屋良平さんの『愛が嫌い』を読みました。 『しずけさ』『愛が嫌い』『生きるからだ』の三篇からなる作品です。 町屋さんの文体に慣れてきた感覚があります。町屋さんの作品はとても静かで混沌としているような印象です。静かで混沌って矛盾しているようで、でもそうとしか表現できない。ベクトルがはっきりしていないところが好きかもしれません。「○○でなければならない」が無い。いや、あるのだけれど、物語の背景に無い感じ。主人公は世の中の「○○でなければならない」から外れてしまった人だと思うので、そういう意味で「ある」。だけれど、物語の流れから、例えばニートはやめて働けるようにならないと駄目だよね、とか。そういうの…