クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1988年作『愛に関する短いフィルム』について。 視線の反転 愛に対して理想的な人と現実的な人についての映画。主人公は自分、他者への解像度が低く、他者との関わり方がわからない。それゆえに愛を理想的に信じている。主人公が恋する女性は愛は存在しないと考えていおり、男を次々取り替えている。女性は主人公と出会うことで愛について見直すようになる。一方で、主人公は女性と出会うことで愛に絶望することになる。それぞれの愛に対する考え方が反転する。 主人公が一方的に女性を見つめるところから始まり、二人の視線が交わるようになる。そして、最終的には女性が一方的に主人公を見つめる…