クリスマスといえば『賢者の贈り物』という一向にピンと来ない話がある。短編の名手と呼ばれる(らしい)O・ヘンリの小説を乱暴にも記憶だけにたよって再現すると、たしかこんな話ではなかったか。 貧乏なカップルが互いにクリスマスのプレゼントを贈りたいと考える。懐の寂しい男性は自慢の懐中時計を売ってお金を作り、女性に櫛を買う。同じく懐の寂しい女性は自慢の長い髪を売ってお金を作り、男性に懐中時計の鎖を買う。そしてクリスマスの日、二人は互いに無駄なプレゼントを買ったことを知ってびっくりするが、お互いへの愛の深さを知る。めでたしめでたし。 考えれば考えるほどいろんなところがもやもやする話ではあるけれど、これに対…