三月歌舞伎座夜の部を観劇。入りは八分といったところか。幸四郎・菊之助・愛之助・松緑と花形が揃った。この四人が同じ部に出ると云うのは、近年では珍しいのではないだろうか。実に結構な座組。こう云う組み合わせを、もっとどしどしやって貰いたいものだ。大名題の名人芸も勿論観たいが、年齢が年齢だけに、余り無理をさせてはいけない。やはりこの年代がどしどし働かねば、歌舞伎界の明日はない。 幕開きは『伊勢音頭恋寝刃』。歌舞伎座では珍しい通し狂言だ。しかも幸四郎・菊之助・愛之助と揃う大一座。名前を見ただけでわくわくする。幸四郎の貢、菊之助の万次郎、愛之助の喜助、彦三郎の正太夫、歌昇の林平、新吾のお岸、廣太郎の大蔵、…