「怒りは二次的感情」であるというのは、心理学の世界ではよく知られた考え方である。つまり、怒りという感情は、最初に生じた「一次的感情」を覆い隠すようにして現れる、いわば“防衛のベール”のようなものだということだ。一次的感情とは、恐れ、不安、悲しみ、寂しさ、無力感、恥、そしてときには「好き」という思いのような、心の奥で最初に反応した素直な気持ちを指す。これらは繊細で弱々しく、他人に見せることがためらわれる種類の感情である。そのため人は無意識のうちにそれを隠し、より扱いやすい「怒り」という形に変換してしまうのだ。 たとえば、誰かに裏切られたとき、私たちはまず「悲しい」「信じていたのに」「どうしてそん…