『ハムレット』の批評では、なぜハムレットは復讐を先延ばしにしたのかという事が、しばしば問題として取り上げられます。後藤武士の『ハムレット研究』でも第4章が「復讐遷延論」として設けてあり、18世紀から20世紀までの間、この問題がどのように考えられてきたかを見て取ることができます。*1 しかしこの後藤武士の『ハムレット研究』「復讐遷延論」で着目したいのは、その冒頭で「Hamletが書かれて100年間は、なぜハムレットが復讐を遅らせたかを問題として取り上げる者はいなかった」と書かれていることです。これは言い換えれば、18世紀以降にこの事が問題として取り上げられるようになったという事です。なぜハムレッ…