各話の見出しに、やたらと長い名前が並んでいる。第三話なら「狙撃兵クラヴヂヤ・グリゴリエヴナ・クローヒナ上級軍曹とマリヤ・イワーノヴナ・モローゾワ兵長の話」。父称まで省かずに書かれていて、そのうしろに階級がつく。目次を眺めていると、作品の一覧というより点呼の紙を見ている気分になってくる。 独ソ戦を扱った漫画なのに、そこに作戦名は出てこない。将軍の名前もない。何年何月にどこが陥落したかも書かれていない。載っているのは、この話が誰の口から出たものか、その一点だけだ。 第二次世界大戦で、ソ連では100万人をこえる女性が従軍している。看護婦や軍医としてだけではなく、武器を手にして戦った人が大勢いた。女性…