稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(asin:414091064X)稲葉氏は、この対談で、自分が教わろうと思っていたことと、自分が教えようと思っていたことの、割合はどれくらいだったのだろう。半分半分? でも結果としては、どうも8割がた教えることになってしまったなと、感じているのではないか。私はというと、「なるほど〜」「そうか〜」と知識が広まり深まったのは、100パーセント稲葉氏のレクチャーからだった。なぜか。じつをいうと、私が心のなかで思っていても世間の風向きを考えればいくらなんでもまともには口にできない類の、きわめて愚直な思いつきのまるで100パーセントを、気弱ながらも堂々たる論陣を…