* ライトノベルの成立条件 文芸批評家の柄谷行人氏は『日本近代文学の起源』(1980)において日本文学における「一つの認識論的布置」としての「風景の発見」は明治20年代に起きた「言文一致」という運動によって生まれた新たな文体によって可能になったといいます。すなわち、柄谷氏によれば「書き言葉」を「話し言葉」に近づける「言文一致」の過程で、日本語という言語は従来支配的な「書き言葉」であった漢字の形象性が後退した結果、抽象的思考を可能とする音声言語として「透明」になり、この「透明」な言葉こそが事物をあたかもありのままに描き出したかのような「風景」として立ち上げることになったということです。 もっとも…