漱石忌をひかえて、こんなことを思った。夏目漱石の『坊ちゃん』に出てくる数学の教師、山嵐。そのモデルとなったのは、隈本有尚(くまもとありたか)という、漱石に数学を教えた教師だ。東大の卒業式で「人間の真価は紙切れ一枚で決まるわけではない」と啖呵を切って卒業証書を破り捨ててしまったという。まさに山嵐のような豪胆な人物だ。洋行した隈本は、シュタイナーの思想と出会い、以降、人智学を研究し、日本に紹介するようになる。実際にシュタイナーに会ったかどうかは、確かめられない。隈本はシュタイナーから人智学を学び、隈本は漱石に数学を教え、漱石は隈本をモデルにした人物を山嵐として『坊ちゃん』に書いた。という間接的なつ…