「主任さん、そんな単価じゃ、かゆもすすれんがの」 「民有林じゃ、一日に米三合くれて、一石でこれだけ出すちゅう話さえありますぜ」 「長いこと官林でやってきたわしらじゃけぇ、そりゃ、他所へは行きとうないんじゃが・・・」 こじれにこじれた伐木造材の功程単価の決定を、「今日こそは決めたい」とたき火を囲んで延々と五時間も話し合ったが、堂々巡りで進展しない。 無理もないことである。何しろ、戦後のすさまじいインフレで、予定簿にのせた予算も、実行時期になると木寄せにすら足りなくなる。 長い重苦しい沈黙が、たき火を囲んだ皆の上にのしかかる。春遅い山峡も木の芽がふき、時折、山鳥のホロロが聞こえる。 「どうだろう、…