『あねさまは、そこにいる』物言わぬ壁と伝承は、我々に何を語り掛ける…? 『むかしむかし、気性の荒い大蛇がいました。村人たちは大蛇を恐れ、年に一度、娘を差し出すことで怒りを鎮めていました。あるとき、その年の生贄に選ばれた「あねさま」が言いました。「蔵を建ててけれ。そして蔵の壁さ、わたしの髪を塗り込んでけれ。私がなんとかする」…』オカルト系の記事を生業とするフリーライター「弥勒院蓮児」は助手の「十六夜彩子」と共に、雪国・I県に伝わる伝承『姉の壁』の取材にやってきた。 伝承に残されているのは、自らの命と道連れに大蛇を退治した娘の話。しかし、語り部はこう続ける。「あねさまは大蛇の呪いで命を落としたわけ…