岩波文庫197ページ「かくのごとくいはんに、徳山いふことあらばよし、いふことなからんには、婆子さらに徳山のためにいふべし。たゞ払袖(ほっしゅう)してさる、そでのなかに蜂(はち)ありともおぼえず。徳山も、「われはいふことあたはず、老婆わがためにいふべし」ともいはず。 しかあれば、いふべきをいはざるのみならず、とふべきをもとはず。あはれむべし、婆子・徳山、過去心・未来心、問著・道著(もんじゃ・どうじゃ)、未来心不可得なるのみなり。」 (婆さんが)こう言ったことに対して、徳山禅師が何か言うことがあれば良い、言うことができなかったら婆さんは徳山禅師のために言ってやるがよろしい。それなのにただ袖を払って…