要旨 本稿は、現代日本の婚活パーティーやマッチングサービスにおける料金差(男性が5,000円前後、女性は500円または無料)という現象を取り上げ、それを「市場原理」「ロールズの正義論」「コミュニタリアニズム」という三つの哲学的視点から多角的に分析する。料金差は、単なるマーケティング上の工夫にとどまらず、ジェンダー役割を制度化し、さらに少子化という公共課題に深く関わっている。本稿では、第一にアダム・スミスの市場思想を援用して婚活料金差の効率性を分析し、第二にジョン・ロールズの正義論によってその公平性を批判的に検討する。第三に、マイケル・サンデルやチャールズ・テイラーのコミュニタリアニズムを参照し…