過日、某小学校の道徳の授業を参観した。ジョバンニだかトルネードだかしらないが、外国の低劣な短編を読ませて、粗筋を互いに言い合う。狙いの定まらない、嫌な授業だった。道徳なら、道徳らしい「教材」を使うがいいだろう。道徳の教材は、日本の歴史である。定評ある古典作品である。国史には、人の道の教訓が満ち満ちている。これこそが、道徳という名の「授業」で使用する教材である。道徳は、常識というより、教養である。読書で培われるべき教養である。 実際の道徳教科書は、切れ切れの駄文集であり、悪書である。小学校や中学校のそれに目を通せば、教科書作成者たちに、道徳の「教養」の、一片だにないことが、わかるだろう。あれは、…