間違っていますか? 種明かし 敬体、常体、口語体、文語体 谷崎潤一郎作『痴人の愛』、江戸川乱歩作『鏡地獄』 間違っていますか? 灰谷健次郎の小説に『日曜日の反逆』という短編があります。 国道で「ヒッチハイクの合図」をしていた少年を、男は車で目的地に送り届ける。その前の日曜日にも同じことがあった。自分については曖昧な話しかしない少年は、息子が飛び降り自殺をしたという男の話を聞いて「嘘だろ」と言う。日曜日ごとに少年と約束した場所に車をとめて、少年を待つようになる男。少年に「虚言癖」があると男は決めつけるものの、放ってはおけない。一向に約束の場所に姿を見せない少年が以前口にした言葉を思い出し、男は少…