読む前と読んだ後とで,世界が全く変わってしまうような本がある。 大抵は読んだ後でそう気づく。「ああ,やってしまったな」と思っても,その時にはもう世界はすっかり変わっているのだから,どうしようもない。 数学と文学とは全く違うことのように扱われるし,日本では文理選択というどちらにとってももったいない選択システムがあるので,選ばなかった方に対して苦手意識を持ったり,自分には一生関係ないことのように考えてしまうところがある。 私は当然のごとく文系を選んだので,数学の世界は何か得体のしれないものというイメージがぬぐえなかった。昨日までは。 帯に「全編を読み通すために,数学的な知識は必要ない。」とあったの…