都と鄙 店主の大好きな司馬遼太郎の受け売りになるが、わが国は約150年ほど前までは、地方分権のすすんだ、封建制の国であった。今年の大河ドラマ「晴天を衝け」ではいまちょうど大政奉還前夜だが、幕末の尊王攘夷運動のなか、欧米列強は早くから徳川幕府は日本政府ではなく、全国各地の大名同盟三百余候の盟主にすぎないと見抜いていた。 江戸時代は250年ものあいだ、平和な世の中がつづいたおかげで世界でもまれにみる学問、文化の栄えた世の中であった。士農工商という身分制度がありながらも、欧州の身分制度にくらべれば、相当に目の粗いもので、並みより少し優れた記憶力と多少の忍耐力があれば、身分上昇の可能性はあった。 各藩…