「弥永部長、片野先輩、藤本先輩。さようならー」 「はい、お疲れー。気ぃ付けて帰ってなぁ」 「じゃぁ、弥永。俺もお疲れーと言うことで・・・・・・」 「ちょい待ち。何言うてるん、自分はアカンで。しっかりつきおうてや」 「ああ、だよなぁ・・・・・・。がっくし」 今日最後の授業が終わってから数時間が経った放課後。 文芸部が部室代わりにしている三年二組の教室には、オレンジ色をした夕日が僅かに差し込むようになってきている。それでも、グラウンドでは運動部がまだ活動をしているんやろう。開け放たれた教室の窓からは、金属バットが立てるカキーンという甲高い音や、仲間に指示を出す野太い声が、風と一緒に入って来る。 ウ…