2026年5月17日(日・晴) 現在、夏目漱石の作品を読まうと思へば、全集や先週、文庫本などの媒体で読むことが普通であらう。かうした形態で読むと、特に長編が連載であつたことに気づかない読者が多いだらう。ここで、実例として『三四郎』を見るが、『虞美人草』や『それから』、『門』、『こゝろ』なども同じ枠に入れた上で論究することができる。手もとに、初版単行本の複刻版、岩波書店版全集(1966)、集英社版全集(1971)、岩波文庫版、そして連載時の第八章までのデータもある。書物を中心に見ると、『三四郎』が一つのまとまつた、一貫性のある物語になつてゐるかのやうに見える。全十三章から成る長編で、読んでいくに…