近頃、縁談を持ちかけられます。 なんとも難儀な話です。 ……が、なんと言っても。 キッパリと断るのも、これはこれでさらに難儀なのです。 相手にも感情や思惑がありますから。 「この人なら断らない」と言う前提のもと話をしてくるかたばかりなので。 ──と、言うことで。 遠回しに断ることにしています。 「そうなんですね、その人どんな人なんでしょう」 「へぇ、わたしみたいな人?──計算高いんですか?」 「わたしはそうですよ」 「相手に本当の目的を伝えるなんてことないですし」 「情報を引き出すために、こちらを誤解させることも屡々です」 「なので、わたしみたいな人と言うことであれば──そんな人なのかな、と」…