橋川文三は1922年生まれで、丸山眞男の8歳下。東京帝大時代(卒業後?)に丸山のゼミで日本政治思想史を学ぶ。のち明治大学教授。1960年『日本浪曼派批判序説』を刊行し、戦後は黙殺されていた日本浪漫派の意義を問い直した。 丸山眞男 戦前の「超国家主義」を軍国主義的ナショナリズムとして批判 橋川文三 「超国家主義」を、生の拠り所である精神の故郷を失った当時の青年たちの自我の問題に起因するものとして捉え、丸山の見方を根底的に覆した。 近代主義のエリートだった丸山は西洋をモデルとしてものを考えたが、若き日に「日本浪漫派」の保田與重郎に惹かれた橋川は日本の歴史に愛情を持ち、日本人の最深部に絞殺の測鉛を垂…