本書の翻訳に取りかかる前、筆者はすでに小学館の世界美術大全集の『新古典主義と革命期美術』(1993年)に、編者兼執筆者として、ダヴィッドと政治史の関わりについて書いていたし、単著『画家ダヴィッド 革命の表現者から皇帝の首席画家へ』( 1991年 晶文社)も、タイトルに明らかなように同様な視点からのもので、フランス以外の地域の新古典主義も、ヨーロッパ内での「新古典主義国際様式」として扱っている。その後著者は、もっと多様な視野からの新古典主義論を書きたいと漠然と考えるようになったが、具体的には何も手つかずのまま出会ったのが本書だった。翻訳作業を通じて、これが自分では書き得なかった規模の内容であるこ…