「あなたの脳のはなし 神経学者が解き明かす意識の謎」(デイヴィッド・イーグルマン著) 解離性人格障害、離人症、統合失調症の症状を考える手がかりを期待しつつ、第二章の「現実とは何か?」を読んだ。 残念ながら期待はあまり満たされなかったけれど、いろいろ考えているうちに、恐ろしい読み物だと感じるようになった。 エリン・サックスは南カリフォルニア大学の法律学教授である。聡明で親切な彼女は、一六歳のときからときどき統合失調症の症状を経験している。統合失調症は脳の機能障害であり、そのせいで他人には聞こえない声が聞こえたり、他人には見えないものが見えたり、他人が自分の考えを読んでいると信じたりする。さいわい…