俳優・藤原季節さんによる朗読と、羊文学のギターボーカル・塩塚モエカさんの音楽による公演『迎夏 夏と朗読』を観た。魂がふるえた。 わたしは語らないことで守られる美を信じている。自分にとって大切な作品や大切な言葉の一部に対し、自分の中だけに大切にしまっておきたいと思うところがある。 誰にも言わないことを選ぶことで、自分が美しいと思う部分をピックした感性をそのまま保存しておきたい。誰の考察にも感想にも触れないで、どんな言葉も周りに飛び交わせることを選ばず、感じたものだけが純粋にそこに残る。その事実が自分を救ってくれることがある。あの日観た朗読は、そういう場所に置いておきたい種類のものだった。 知らな…