本書の主人公は、マーティン・アーサー・クーニー(1870-1950)。同じ年生まれは、本多光太郎、ジョーゼフ・ピューリツァー、西田幾多郎など。クーニーは第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦の時代を生きた。 本書の副題にあるとおり、新生児医療のはじまりは現代の感覚からすると「奇妙」であった。未熟児を救うための保育器を開発し、実用化したのだが、クーニーは医師であるという確たる証拠はなく、その保育器に未熟児を入れて展示して収入を得ていたため、興行師の側面っていうか、興行師そのものの人物だ。 うちの長男は生まれた時点で2500グラムに達しておらず、低体重児だった。体重が増えるまでのしばらくの間、保…