木曜日。盆の入り。 工事現場は、今日から三日間の一斉休暇に入った。 あれほど耳障りだった重機の音が消え、街には不気味なほどの静寂が満ちている。 しかし、その静けさが逆に恐ろしい。 普段なら聞こえない音が聞こえてくるからだ。 風の音。遠くの電車の音。そして、地面の底から響く、重苦しい唸り声のような音。 「……聞こえるわね」 閉館後の図書室で、透子が床に耳を当てている。 「ポンプは動いてる。でも、出力が不安定よ。まるで、抑えきれない何かが暴れているみたい」 明日の深夜二時。ポンプが止まる(あるいは止められる)。 その瞬間、何が起きるのか。 僕たちは、カメラと録音機材、そしてもしもの時のための懐中電…