米を研ぐ前に、その日の自分の具合を確かめる。眠りが浅かったのか、外はどれくらい暑いのか、胃は何を受け付けそうか。それによって水の量と炊き方を決める。谷黄理子の朝は、献立を考えるより先に、この確認から始まる。 炊けた米を詰める先は、二十年使っているわっぱだ。彼女は三十二歳なので、単純に引き算すれば十代前半から同じ弁当箱を使い続けていることになる。中身は雑穀米とつけ物が基本で、この二つだけは切らさない。おかずが加わる日もあるが、隙間なく飾り立てるような詰め方はしない。 こういう食べ方をするのは、幼い頃を禅寺で過ごしたからだ。糠も粕も麹も、あとから覚えた知識ではなく、最初から台所にあったものとして扱…