3 ヘリゲルの哲学的思索力により禅の精神が西洋に 第二の矢が第一の矢の筈を二つに割いた夜、小町谷氏は通訳に行かなかったのですが、後にその時のことを次のように述べています(『日本の弓術』)。 ヘリゲル君と弓 …彼の講演(原稿)を読んだ後に、この出来事について、ある日阿波先生にうかがったところ、先生は、「いやまったく不思議なことがあるものです。偶然にも、ああいうことが起こったのです」と言って笑って居られた。ヘリゲル君が日本にいる間、不思議なことがあったと、一度も話さなかった冷静な態度にも感心するが、先生が柴田君のこの翻訳が出るまで、一度もそのことを物語られなかった態度にも、ほんとうに敬服させられる…