烏口を知らず、極細の筆で息を止めながら描いた(イメージ) 2026年2月23日、永井一正が逝った。96歳だった。 訃報を告げるニュースは、「札幌五輪マークのデザイナー」「JA、アサヒビールのロゴを手がけた巨匠」という言葉で彼を紹介した。間違いではない。しかしその紹介文には、決定的に欠けているものがある。 永井一正は、日本のグラフィックデザインがもっとも「熱」を持っていた時代の、最後の生き証人だった。 銀座に生まれた「異様な場所」 1960年、東京・銀座に奇妙な会社が誕生した。日本デザインセンター(NDC)、通称「デザセン」。トヨタ、東芝、アサヒビールなど複数の大企業の出資によって作られた…