4 近代化による日本人の身体の変化 ②体から心へはたらきかけ、心身を育てる文化の喪失 頭で考えられること(諸近代制度)は、「きしみ」を生じつつも、可能な限り西洋的なものに変えてきたかもしれません。しかし、千年以上かけて身体に染み込ませてきた日本人特有の動きは、そうした近代化の中でもなかなか変わらないものがあったのです。 例えば歩き方です。今世紀に入っての、甲野善紀氏によって広く知られることになった「なんば歩き」があります。 「なんば」は日本人古来の歩き方で、あまり手を振らず同側の手足を同時に出し、体の片側ずつ運ぶというものです。その「なんば」が、幕末の動乱期以後、各藩が近代的軍隊養成のため、西…