中岡哲郎『日本近代技術の形成- <伝統>と<近代>のダイナミクス』(朝日新聞社、2006年)、序章・終章 著者(=中岡)が学生だった頃(1950s)においては、イギリスが口火を切った西欧の産業革命を精密に研究し、それとの比較において日本における工業化過程の歪みや後進性の残存、植民地性などを指摘する議論が主流だった。それに対して本書は、日本の工業化過程を「歪んだ工業化」とみなすのではなく、西欧に遅れて工業化する国にとっての工業化とは、在来経済・社会に根差す内部要素と、西欧工業経済の外部要素とが相互に絡み合った混血型という独自の構造を持つということを主張するものである。より詳しくいうと、日本にとっ…