美味いもの好きの悪党たちの裏側 落語に出てくる悪い奴というのは、間が抜けていて残酷なことをしないというのが前提になっているところがありますが、講談の場合は残忍で悪人らしい悪人という感じがして、私は講談の悪人のほうが好きです。 時代劇などで、善良なものをいかにもな悪人を出してきて、その対比においてさらに善良たらしめるのは常道(勧善懲悪)だろうけれど、ケチな悪人と悪党とを並べる場合、悪党がかなり魅力的でなければ面白くもなんともない展開になります。 座頭市なんかでも、ほぼ悪人と悪党がやりあいますが、悪党である座頭市が魅力的なので面白いし凄みがある。 悪党を描くことにおいては、池波正太郎がなんとも言え…