『月』辺見庸の同名小説を原作とし、実際に2016年に起きた障害者殺傷事件を題材としている。森の奥にある障害者施設で働くことになった洋子。かつて東日本大震災をベースにした小説を書き、名の売れた小説家となったが、それ以来小説を書くことができなくなった。いわば他に働き口がなかったという消極的な理由で施設へ通うことになった洋子は、入所者への日常的な暴力が黙認されている事実を知る。同僚である年若い陽子とさとくんと交流するようになるが、洋子同様に、彼らも心に鬱屈したものを抱えていた。特にさとくんは施設での勤務を通じてある思想に支配されるようになり、その日は訪れる。 さとくんの論理である「コミュニケーション…