家を出る30分前に目が覚めて慌てて飛び起きた。学生時代の友人Sちゃんと3年ぶりに会う日だ。急いで家を出て鍵を閉めたところで日差しの強さに気づいた。日傘、と思ったけれど取りに戻る余裕はなかった。 Sちゃんは大学の専攻が同じだった。最後に会ったのは2021年春、大学の卒業式。それから3年間、コロナの流行でなかなか会うことができなかった。年に一度くらい連絡を取って、また会いたいね、いつか会おうねと言い合って、ようやく今日会える。 待ち合わせの駅の改札を出て、あまりにも人が多いから電話をかけた。呼び出し音が止んで、もしもし、と言おうと口を開いたところで視界の端に手を振っているSちゃんの姿が見えた。 再…