40年余り前の20代後半の頃、NHKで今は亡き桂枝雀師匠が主人公に扮した『なにわの源蔵事件帳』というドラマを放映していたのをひょんなことから思い出し、図書館で原作を借りてきて読んでいます。 今回取り上げたのは「尻無川の黄金騒動」。時代は西南の役(明治10年)直後、大阪の町なかにおけるし尿の汲み取りをめぐる屎尿取締会所とモグリの百姓との紛争から、不正を働く百姓たちを追及する過程で、「海坊主の親方」こと赤岩源蔵が凶悪な強盗の逮捕につながるお手柄をあげるという話になっています。 屎尿汲み取り代金を払わない(後の時代とはちがい、当時は肥料にするためにくみ取った農民側が支払っていた)との苦情を会所へ申し…